スマートフォンの普及とともに拡大の一途を辿ったSNSは、今や情報インフラの代表格といえるツールになりました。
ユーザー層も若年層中心から老若男女問わず使われるようになり、企業のマーケティング活動におけるSNSの重要性は日に日に高まっています。
そこで今回はビジネス用途でSNSを活用したいと思っている法人・個人の方に向けて、SNSの基本的な運用方法、ルールと取りまとめました。
-SNS運用の基本・目次-
目的設定
運用の目的を設定します。
コンテンツやユーザーとの関わり方など運用にまつわる全ての軸となる部分なので、しっかり熟慮の上決定しましょう。
目標には大きく分けて最終目標となるKGIと、その目標の達成度合いを示す指標KPIがあります。
■KGIの例
- 企業やブランドの認知度向上
- 企業やブランドの好感度向上
- 売上高の向上
■上記KGIに設定した場合のKPIの例
- 企業やブランドの認知度向上→
KPI:インプレッション数、フォロアー数、オウンドメディアへの流入数等 - 企業やブランドの好感度向上→
KPI:いいね数、コメント数、等 - 売上高の向上→
KPI:クーポン利用率、コンバージョンレート(CVR)
誰に届けるか(ペルソナ設定)
対象のユーザーを明確にするためにペルソナを設定します。
ペルソナはコンテンツを閲覧する[特定の人物像]というところまで絞り込みますので、一人である必要はありません。
コンテンツタイプ別などで、複数の人物像(ペルソナ)を作成しアカウント全体としてのターゲット層を決めましょう。
■ペルソナ設定のメリット
- ターゲットにピンポイントに届く企画やコンテンツになる
- 運用側の共通認識ができる
- ユーザー目線で意思決定できるようになる
ペルソナ作成にあたり参考にしたいデータ
客観的なデータを活用することで「運用者にとって都合のいいペルソナ」になることを防ぎます。
- リサーチ会社のデータ
- オウンドメディアのアクセス履歴
- 商品、サービス購入の顧客データ
- 自社アンケート
ペルソナの項目
ペルソナの項目は多ければ良いという訳ではありません。届けたい情報、サービス、商品によって必要な項目は異なりますので
しっかり精査のうえ項目を設定してください。
- 年齢、性別、住んでいる場所
- 家族構成
- 人間関係(友人、恋人等)
- 学歴
- 仕事(仕事内容、役職)
- 収入(お金に対しての考え方)
- 商品やサービスの選び方
- スキルや知識
- 生活パターン(起床、通勤・勤務、就寝時間、外食派or自炊派)
- 価値観、モノの考え方
- 情報の入手方法(ネット、セミナー、知人)
- 今課題と感じていることやチャレンジしたいこと
- 趣味や興味
- ITリテラシー(WEB、SNS、アプリ、最新技術、サービス)
- その他(自社サービスや商品によって適切な項目を加える)
SNSの選択
TwitterやFacebookなど主要なSNSは、それぞれサービス内容や機能、ユーザー層などに特徴があります。
SNSを運用するにあたり、その目的や目標、ターゲット層に合うサービスを利用することで、より高い効果を期待できます。
最も拡散性が高く、オープンでつながりやすいSNSツール
ユーザー数とその特性
- 国内月間アクティブユーザー数Twitter:4,500万人
※一人で複数のアカウントをもつことも多いため、他との比較には考慮が必要 - 10代から20代の利用者が多く、若年層をターゲットにしたマーケティングに適している。
特徴
- 140文字という短文でのメッセージ(ツイート)
- 匿名での利用者が多く、気軽な投稿、コミュニケーションが多い
- 他ユーザーの投稿を再度投稿するリツイートなどの機能により情報の拡散性が高い
- リアルタイム性が高く、今話題になっているニュースはすぐに投稿、拡散される
- ハッシュタグを使った情報検索が一般化している
実名制が基本のフォーマルコミュニケーション
ユーザー数とその特性
- 国内月間アクティブユーザー数Twitter:2,800万人
- 20代から上のユーザーが多く、他のSNSより若干年齢層は高め
特徴
- エッジランクによって投稿に優先度が付けられる
- 実名での利用者が多く、リアルでもつながりをもつユーザー間でのコミュニケーションが多い
- 実名制ならではの高精度なターゲティングが可能
- 個別でページが作れるFacebookページなど、他のSNSと比較して多機能
「映え」がキモのビジュアルコミュニケーションツール
ユーザー数とその特性
- 国内月間アクティブユーザー数Twitter:3,300万人
- 20代から30代の若年層がメインで若干女性ユーザーが多い
特徴
- 写真や動画を使ったビジュアライズされた投稿がメイン
- フィード機能がない為、ハッシュタグを使った情報検索が基本
- Facebook社のサービスであるが匿名登録ユーザーも多い
- 洋服などビジュアルで見せたい商品やサービスのマーケティングに有効
LINE
国内No1のユーザー数を誇る純国産SNSサービス
ユーザー数とその特性
- 国内月間アクティブユーザー数:8,000万人
- 10代、20代に加え、それ以降の年代も一定のユーザー数
特徴
- 無料通話やLINE Payなどモバイル向けサービスが多く、ユーザーはモバイル利用中心
- トークとタイムライン、2軸のコミュニケーションインターフェイス
- 国内において圧倒的なユーザー数とアクティブ数。
運用ルール(マニュアル)の作成
運用マニュアル、ルールを作成することで常に同じ認識をもってコンテンツの作成やユーザーへの対応をおこなうことができます。
法人で担当者が一人の場合や個人で運用する場合でも、後々「ブレ」が生じないように目に見えるかたちでルールを作成しておくことをおすすめします。
■情報共有マニュアルの例
投稿ルール
- 投稿頻度
平日のみ、1日2回、等 - 投稿トーン(キャラ付け)
キャラ(紳士、フレンドリー)言葉使い(敬語、友たち言葉)、等 - テクニカルルール
画像、動画のファイル形式、等 - コミュニケーションルール
返信があった場合、どのような内容の時返信するか、等 - コンプライアンスルール
情報引用のルール、個人情報掲載のルール、等 - 情報共有ルール
運用するにあたって、誰がどのように関わり、どう共有するのか。 - 運用スケジュール
世間の年中行事に合わせた投稿やイベント計画などを記載。
コンテンツ作成のコツ
企業アカウントで、新商品の告知画像だけを永遠と流しているだけのものをよく見かけますが、SNSという特性上そのような運用方法で高いエンゲージメントを得ることは困難です。
SNSはあくまでコミュニケーションツールであるという認識のもと、その特性を活かしたコンテンツを発信することでユーザーへの満足度、好感度の向上につながります。
- リアルタイム
その時に話題になっているニュースや催事など。 - 共感できる内容。
「自分もそうかも」と思われる内容、喜怒哀楽を共有できる内容。(かわいい、カンドウ、驚き等) - 役に立つ内容
日常やくに立つ豆知識など。 - お得な情報
プレゼント企画、店舗のセール情報など。 - ユーザー参加
アンケートやクイズなど。
効果測定
SNS運用において発信した情報がどの程度ユーザーに届いたか、効果があったのかを定量的なデータのもと測定・分析することはとても重要です。
主要なSNSはどれもアナリティクス機能を有していますので、それらを使った分析が可能になっています。
Twitterアナリティクス
ツイートを分析してフォロワーや各アクションに対してのデータを詳しく確認することが出来ます。
- アカウントホーム
統計データの概要が月ごとに表示されます。 - ツイートアクティビティ
ツイートごとに閲覧回数、リツイートした回数、いいねした回数、返信した回数を確認できます。 - フォロアー
フォロワーの特徴や増加率などフォロアーについての情報が確認できます。
Facebookインサイト
FacebookインサイトはFacebookでおこなったアクションについて計測、分析を行える公式の機能です。
Facebookページのメインメニューよりインサイトを選択することで解析画面にアクセスできます。
なお、Facebook社が運営しているInstagramも同様にインサイト機能が備わっています。
- リーチとエンゲージメント
投稿のインプレッション数と、エンゲージエージメント数(いいね、コメント、シェア)を確認できます。 - アクション
いいね!やWEBサイトへのクリックなど、イーザーがFacebookページでユーザーがおこなったアクションを確認できます。 - 利用者
年齢、性別、位置情報などの利用者データから、利用者について把握できます。Facebookページを閲覧しているタイミングや、そのページにたどり着いた方法も確認できるため、その情報をもとに今後の投稿を調整できます。 - ビュー
Facebookページにアクセスした人数とカテゴリを確認できます。 - 投稿
各Facebookページ投稿ごとのリーチ数やクリックなどの反応の数を確認することができます。
LINE分析
LINE公式アカウントの各種データを確認、分析することができます。
メッセージ、チャット、友だち、タイムライン、クーポン等、各種データの確認が可能です。
炎上対策
炎上は自らの失言だけでなく、ユーザーから自社(自分)に対してのクレームや不満などからも発生します。
SNSを運用するにあたって炎上は「誰にでも起こりうるトラブル」と認識し、事前に対応策を練っておくことが重要です。
「失言」しないために
- プライバシーや個人情報に注意する。
フレンドリーな対応をおこなう場合でも「公の場」という意識を忘れないようにしましょう。 - ハラスメント発言に注意する
パワハラ、モラハラ等、ハラスメントには注意してください。 - 情勢、時勢、タイミングに注意する
平時では問題ない発言でも、状況により炎上することがあります。 - 誤爆
投稿のダブルチェックをおこないましょう。 - 政治、思想、宗教には触れない
あえて踏み込んで発言する場合もありますが、基本的にセンシティブな内容には踏み込まない方が無難です。
もし炎上してしまったら
こちらに非がある場合は誠実な対応(謝罪)をおこなう必要がありますが、誤解や相手側の一方的な認識のもと炎上が起こっている場合は毅然とした対応を取ることも必要です。
こちらに非が無い場合は一切関与(反応)しないことが一番の良策です。間違ってもムキになって相手とやり合うようなことは避けてください。
まとめ
ユーザーとのコミュニティを深めながら自然なエンゲージメントを得られるSNS運用は、上手く行えば有料広告以上の効果を期待できます。
一方でユーザーとの距離が近い分、炎上などコミュニケーションを起因としたトラブルに見舞われる可能性もあります。
運用計画を立て、事前のリスクマネジメントを行ったうえでSNS運用をおこなってください。